ウルフの経営 先鋭者インタビューvol.3

東濃ヒノキの産地としての歴史を活かしながら、自社の林業部門を創設し、素材生産~製材までトータルで経営する”地域企業”の経営者・田口房国社長。前回のインタビューに続き最終回では「田口社長が視察を受け入れる理由」「持続的経営に向けた利益の循環」「田口社長にとっての”ウルフの夢”」この3つについてお話をお聞きしました。

株式会社山共

代表取締役 田口房国 氏

株式会社山共 代表取締役。岐阜県東白川村在住 2007年より(株)山共代表取締役。400haの山林を所有し、林業、製材業を中心とした木材産業全般を本業とする傍ら、これからの社会が抱える課題を田舎から解決していくことに燃える、ウルフの経営者の一員。

田口社長がフォーラム登壇のような場で話したり、積極的に視察を受け入れる理由は何ですか?

田口社長:

理由は、いつも緊張感を持ち続けるためです。以前、私が経営理念について話した取材動画があるのですが、自分よりも年上の経営者の方から「自分を鼓舞するために、たまにあの動画を見ているんです!」と言われた経験がありました。そんな予想外の反響をいただいて、それならば、これから今後出会うであろう同業者の方々からも、目指してもらう存在で有り続けなければならないと、見られる緊張感を持っていようと意識するようになりました。経営者が集まる場所に行けば、自然と「人から評価される立ち位置」に自分を置くことができます。また、自社の工場へ視察に来てもらえば、同業者から意見をもらってディスカッションし、改良するための新しい気付きをいただきます。社内、地域内の人間だけでは気づけない視点や“見られる意識”をもらうことが、人前に出る動機でしょうか。林業・木材業界でもTEDを開催できるくらいに、誇りを持って自社の価値観を語れる経営者が増えると良いですね。

「人から見られる意識」で言えば、他社の経営者からは社員育成や利益の使い方について質問されることも多いと思います。田口社長にとって、持続的な経営に向けた「社員育成」や「利益の循環」についてお聞かせください。

田口社長:

社員育成、利益の循環で言えば、当社では一昨年の2016年に一つの転機を迎えました。それは、社内全体で給与を底上げしたことです。これによって販管費として分配する人件費は年間約500万円(昨対比10%増)上がりました。初めての試みで最初は見守ろうと思っていましたが、製材部門の株式会社山共、林業部門の山共フォレスト、2事業体とも黒字に出来そうでよかったです。給与の底上げに至った理由は、基本的に黒字体質ができている中で、今の範囲で出来ることと判断したためです。社員育成という視点でみても、給料を上げることによって、1人ずつに求める質が変化しますので、給与の底上げをきっかけに改めて社員と面談を行い評価制度を作り、経営者として一人一人にどんな役割を求めるか、話す機会を設けました。安定的に利益が出せる組織体制ができた現段階で、会社として次のフェーズに行くためには、社員の能力向上を求めるだけではなく、経営者としてもその姿勢を示さなければならないと考えます。社員への数字意識の普及で言えば、当社では私が「山共新聞」という資料を自作して、目標達成度を測る一つの指標として売上金額を共有しています。

インタビューを通じて、自社の事業と、地域への波及効果についてお話をお聞かせいただきましたが、最後に田口社長の「夢」についてお尋ねします。規模は小さくとも、孤高の精神と志を持って、地域の経営ビジョンを掲げる「ウルフの経営」。田口社長にとって今後の「ウルフの経営の夢」は何ですか?

田口社長:

自分自身は地域や会社、大きな時代の流れの中では歯車の一つに過ぎません。私が家業である山共へ入社した日、創業者である祖父から言われたのはたった一言。「男として、今やらなければならないことを、やれ。」という言葉でした。今でもこの一言に従い、命を全うするのみと思います。人間一代では無しえない林業においても当然、次世代に受け継ぐために必要なことをやることが重要です。その方法の一つが利益を確保し永続的に経営することになります。林業や製材業の家に生まれた私は、木材が社会の中の一部を担えるようにすることが、課せられた使命の一つと考えています。この地域のほぼ唯一の資源である木材を活かすも殺すも自分自身に掛かっていると思っています。僕自身がしくじれば、地域そのものもダメになると考えていますので、木材を活かして地域の雇用を作り続けることが、自分にとってのウルフの夢ですね。

”ウルフの経営”のミッションは、地域の民間企業発信で地域ビジョンを考えること。全3回の経営者インタビューを通じて、株式会社山共・田口社長にとっての「ウルフの経営」についてお話をお聞きしました。来たる5月18日のキックオフフォーラムでは質問回答コーナーも予定していますので、田口社長に聞いてみたいご質問などあれば、お問合せフォームからご連絡お待ちしています。それではフォーラム開催に向けて、引き続き経営者インタビューをお届けして参ります。


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